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ハイブリッド化による分子複合材料

有機ー無機ポリマーハイブリッドの合成

私たちの研究室では、プラスチックでもないガラスでもない、その中間に位置するポリマーハイブリッドと呼ばれる材料の合成法の研究をおこなっています。 プラスチックやガラスはそれぞれ基本になる分子が集合することによって、一つの素材となっていますが、我々はその構成単位をゾル-ゲル法と呼ばれるガラスを合成する手法の一つを用い、分子のレベル(ナノレベル)で均一に混ぜることでポリマーハイブリッドを合成しています。 また最近我々は、ナノサイズのユニークなカゴ型構造を有するシルセスキオキサンを無機成分とし、有機ポリマーと混ぜ合わせることで、新規有機ー無機ポリマーハイブリッドを合成することに成功しました。

マイクロ波を利用したハイブリッドのin situ重合および光学材料への応用

一般に、ポリマー−シリカハイブリッドの合成はポリマー存在下アルコキシシランのゾルゲル反応を用いて行われます。有機ポリマーとシリカとの弱い相互作用あるいは有機−無機間の共有結合を利用することで、有機−無機がナノレベルで複合化した材料が得られます。本手法には、(1)反応中に水やアルコールを生成する為に体積収縮が大きい、(2)有機・無機各々が相互作用可能な官能基を持たない場合はハイブリッド化できない点が挙げられます。それらを解決する手段として、有機モノマーの重合とアルコキシシランのゾルゲル反応を同時に行う ”in situ 重合法” が開発されています。これにより体積収縮の小さいハイブリッドが得られ、さらにポリスチレンなどシリカとの親和性の低いポリマーでも物理的な固定化を経由してシリカとのハイブリッド化が可能であることが明らかになっています。
 in situ 重合法は、有機−無機ハイブリッドの合成方法として非常に有用でありますが、反応時間が長く、産業的な観点において不利となります。そこで、このin situ 重合法にマイクロ波照射を利用してハイブリッドの合成を行いました。また、このin situ 重合系にボロンジピロメテン(BODIPY)などの有機ホウ素色素を導入し、色素の分散性、光学特性ならびに耐光性について検討を行いました。

マイクロ波を利用したハイブリッドのin situ重合

有機モノマーとして2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、アルコキシシランとしてメチルトリメトキシシラン(MeTMOS)を用い、マイクロ波を利用したin situ 重合法を検討しました。その結果、通常の加熱方法に比べ、ラジカル重合およびゾルゲル反応の両方が促進されることで、短時間で均一性の高いPHEMA−シリカハイブリッドが得られました。
文献
Kajiwara, Y.; Nagai, A.; Chujo, Y. Polym. J. 2009, 41, 1080-1084.

優れた発光特性を示すPHEMA−シリカハイブリッドの合成

BODIPYは平面性が高く結晶化しやすい為、通常の加熱方法ではハイブリッドの合成中にBODIPYが結晶化し、均一なハイブリッドは得られません。一方、加熱方法としてマイクロ波を用いることでゾルゲル反応が迅速に進行し、BODIPYの結晶化が抑制され、高濃度のBODIPYをハイブリッドに均一に分散することが可能となりました。また、BODIPYを共有結合を用いてハイブリッドに導入することにより、優れた耐光性を示し、さらに色素の溶出を抑制することができました。
文献
1)Kajiwara, Y.; Nagai, A.; Chujo, Y. J. Mater. Chem. 2010, 20, 2985-2992.
2)Kajiwara, Y.; Nagai, A.; Chujo, Y. Bull. Chem. Soc. Jpn 2011, 84, 471-481.

高効率白色発光を示すPHEMA−シリカハイブリッドの合成

複数の有機ホウ素色素をPHEMA−シリカハイブリッドに導入した場合の、色素間のエネルギー移動について詳細に調べた。その結果、マイクロ波照射を用いてハイブリッドに分散・固定化させることで色素間のエネルギー移動が抑制されることが明らかとなりました。さらに、RGB発光色素をPHEMA−シリカハイブリッドに導入することにより、高い発光効率を示す白色発光ハイブリッド材料が得られました。
文献
Kajiwara, Y.; Nagai, A.; Tanaka, K.; Chujo, Y. J. Mater. Chem. C, 2013, 46, 2969-2975.

溶存酸素応答性りん光材料・大気中でりん光を発するハイブリッド

ハイブリッドを構成するポリマーとシリカの比率を変えたポルフィリン白金錯体を含有するハイブリッドを合成しました。ポルフィン白金錯体は、リン光発光色素であり、酸素により消光することが知られています。基盤材料として用いたハイブリッドの組成比を変えることで、水中において溶存酸素による消光の度合いをコントロールすることが可能になりました。
文献
Okada, H.; Tanaka, K.; Chujo, Y. Bioorg. Med. Chem. 2014, 22, 3141-3145.

高耐久性導電性ハイブリッド

ゾル―ゲル法を用いてTTF-TCNQ錯体を分散したハイブリッド材料を合成しました。触媒として弱酸を用いることにより、錯体が構造を保持した状態でハイブリッド化が可能となりました。TTF-TCNQ錯体は導電性を持つ電解移動錯体であり、ハイブリッド化することで、高温でも高い導電性を示す高耐久性導電性ハイブリッドを作成することができました。
文献
Okada, H.; Tanaka, K.; Chujo, Y. Polym. J. 2014, 46, 800-805.

光酸発生剤を用いた自動分解性ハイブリッド

有機−無機ハイブリッド材料は、その安定性のため一般的には作製後の利用が困難です。外部刺激により、分解するポリマー成分を含むハイブリッドを合成することによりハイブリッドの再加工及び機能付与が可能になると考えられます。光は、透明なハイブリッド材料中を内部まで侵入できるため、外部刺激として有効です。光解離性基の反応性と放出挙動を単分子で確認し、その単分子誘導体をモノマーとする高分子の合成、ハイブリッド化及び光照射による分解を利用した応用例を検討しました。
 UV照射によりメタンスルホン酸を放出する光酸発生剤を合成したところ、溶液中において、光脱離基の解離を確認しました。TTFを用いた溶液中及びフィルム中において、酸を放出していることを確認しました。この知見を活かし光分解性高分子の合成を行いました。得られた高分子にUVを照射することにより、モノマー単位まで分解することを確認しました。このポリマー、アルコキシシラン及び色素をゾル−ゲル法を用いてハイブリッド化を行いました。ハイブリッド中の色素放出を行ったところ、UV照射によるポリマーの分解により色素の放出量が増加することを確認いたしました。
文献
Okada, H.; Tanaka, K.; Ohashi, W.; Chujo, Y. Bioorg. Med. Chem. 2014, 22, 3435-3440.

金属ナノ粒子の合成と組織化

ナノ金属粒子の物性は、通常我々が手にする金属とは異なる挙動を示すことが知られており、近年非常に注目をあびています。我々は有機ポリマーと金属との相互作用を高度に制御し、粒径のそろった金属微粒子をナノメートルのオーダーで任意の形状に組織化することに成功しました。 このようにして得られた金属微粒子はナノ導線・高活性金属触媒・光反応触媒としての応用が期待されます。