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機能性蛍光プローブ

1.直鎖型生分解性ケージドフルオレセインポリマーの合成と酵素活性の定量(文献1)

 高分子を基幹とした分子イメージング剤はシグナル分子の集積が容易であり、高感度の測定が可能である。また、酵素反応等の生体反応によってはじめて蛍光発光を示すケージド化合物はバックグラウンドノイズを低下させ、測定の正確性を高める。本研究では、蛍光色素として汎用性の高いフルオレセインをリン酸加水分解酵素に応答して発光を示すようにケージド化し、それを主鎖に導入した生分解性ケージドポリマーを合成した。さらにリンカーを変えてその反応性の違いについて検討した。まず、フルオレセインのキサンテン骨格の3位と6位にリン酸基を導入することでフルオレセインをケージド化し、バックグラウンドノイズの原因となる反応前のプローブ分子の蛍光発光を抑える。(図1)さらに、リン酸エステルを介してフルオレセインとエチレングリコール等のリンカーを重合させることで、高い水溶性と酵素分解反応への応答を付与する。特に、蛍光色素を主鎖に有することで、側鎖に導入する場合に比べて、嵩高い蛍光色素の立体的な制約を受けず、分子量あたりの蛍光色素の導入量を増加させることが可能であると考えられる。また、リンカーを変化させることで酵素分解反応への応答が変化すると考えられる。

図1. 生分解性ケージドフルオレセインポリマーの構造

実際に、アルカリホスホターゼ存在下で酵素分解反応を行うとポリマープローブの分解がみられ、図2のように反応液から強い蛍光発光が得られた。さらに、様々なリンカーを変えることで、同じ濃度の酵素においてシグナルの増加速度が変化した。これらの結果は、ポリマープローブが生分解性を有していることと、分子設計通りに放出速度を制御できたことを示している。細胞破砕液中の酵素活性濃度の定量を行ったところ、既存のキットを用いた場合とほぼ同じ値が得られた。以上の結果から、本研究で得られたプローブを用いることで、細胞内の酵素活性を定量的に計測することが可能となると期待される。

図2. シグナル応答

参考文献

1. Tanaka et al. Macromolecules 2010, 43, in press